きょう1日から3日までの期間限定で、映画『国道20号線』やその次作『サウダーヂ』で知られる富田克也監督の『FURUSATO2009』がウェブ配信される。これは今月4日、東京・渋谷ヒカリエで行われる上映イベント「CINEASTE 3.0」に先がけ、ミニシアター「KINEATTIC」とのコラボ企画の一環。過去には「CINEASTE 3.0」公式サイトを通じ、真利子哲也監督ら若手映画作家の作品が無料公開されており、先述した富田監督の『FURUSATO2009』はこのコラボ企画の第4弾にあたる。

 本作は、映画『サウダーヂ』の制作を前に富田監督が撮りためた1年間のリサーチ映像をもとに編集しており、副題には「『サウダーヂ』のための長い予告編」というタイトルが付されている。実際のちにユーチューブで公開された本編の予告編(【予告編】【予告編パート2】【英訳つき予告編】)はいずれも2、3分程度だが、本作の場合は先の副題通り長さが1時間近くにわたる。

 だが、こう聞いてただ冗長なだけのつまらない予告編と侮るなかれ。その点では記事冒頭に挙げた富田監督作品にもまったく引けを取らず、徹底した取材に加えて高野貴子氏の見事な編集構成で、重量級の良質なドキュメンタリー作品に仕上がっている。さらにアマ記者の立場から言うと、何気ない農村部などでの会話のなかからは、その地で懸命に生きる人々とその声を丁寧に拾い上げた監督の息づかいが伝わってくる。これはまさに富田監督の「聞く力」によるところが大きい。

 ちなみに、本作のウェブ配信が始まるきょう1日は、富田監督らの映像制作集団「空族」に贈られる山梨文学シネマアワードを記念して甲府市湯村にある旅館明治で、また今回の配信の最終日3日には、毎日映画コンクール歴代受賞作のアンコール上映として川崎市等々力の川崎市市民ミュージアムにて、いずれも本作の本編である映画『サウダーヂ』上映とその脚本家富田克也、相澤虎之助両氏のトークイベントが行われる。詳しくは、先に挙げた「山梨文学シネマアワード2013」、「川崎市市民ミュージアム」公式サイトに掲載の上映スケジュールをご覧いただければと思う。

 本作の公開は、今月1日午前11時から同3日午前0時まで『CINEASTE 3.0』公式ウェブサイトにて。この配信期間中は、いつでも無料で視聴することができる。まだ余寒厳しきこの夜長、受験勉強などの貴重な時間を割いてでも観る価値は十分にある。そして作品をご覧になって本編にも関心を持たれた折は、記事中で紹介したシネマアワードや市民ミュージアムなどの上映イベントにぜひ足を運んでもらいたい。上映終了の映画館が多いなかでスクリーンで観られる貴重な機会、私自身きょう行われる甲府での本編上映と予告編配信とで、2つの作品を併せて観るつもりでいる。

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