―― 税金論議の数値のウソと税制改善で「20兆円創出可能」の驚き
本書は、消費税が導入された背景、消費税を導入する日本が財源不足に陥った理由などについて、現役の税理士である富山泰一氏がつづったものである。図表やグラフが多いこともあって非常に読みやすく、短時間のうちに読み終えた。そして本書を読み終え、本書が読み広がることによって消費税の引き上げ問題に終止符を打つことができるのではないかと感じた。
そうした読後感を抱いたことを述べた上で、本書を読んだ際に注目したり長所と感じたりした3つのポイントを紹介したい。この拙い書評を読んで、1人でも多くの方が本書を読んでみようと思ってくだされば幸いである。
まず第1のポイントは、数字のトリックを解明、これを論破していることである。いま、政府からは「諸外国のなかで日本は消費税率が低い」、財界からは「日本企業の公的負担が高い」という大合唱が起こり、それによって消費税増税や法人減税の流れが強まっている。それに流されるように、国民のなかで社会保障の充実には消費税の引き上げが仕方がないものと考える者が増えている。
これまで、政府や財界が増減税の根拠とするデータに疑問を持ちながらも、税の知識を持ち得ないがために反論できないもどかしさを感じていた。しかし本書を読んで、そうした政府や財界の主張に物言えぬもどかしさが無くなった。それは、本書が政財界が示す数字のトリックを解明し、これを喝破していることが心地良く感じられたからかもしれない。
次に第2のポイントは、具体的な増収と財源の試算が提示されていることである。本書では、著者が主査を務める財源試算研究会が発表した「不公平税制是正による増収試算」(2008年度)と「税金の使い道をただす財源試算」(2006、07年度)が紹介されている。これらの試算によると、歳入面で不公平税制の是正によって年間20兆円を確保でき、歳出面では税金の使い方の改善で年間38兆円を削減できるという。
この記述を読んだ際、はじめはこれらのデータはまゆつばものであるように感じられた。だが、本書で提示される財源と増収の試算を見て、具体的かつ現実的な試算であることが分かる。政党のマニフェストで提示される財源試算と違って、さすが税理士らの手によるものであると感心した。
第3のポイントは、自らの知ってるつもりを気づかせてくれることである。以上の長所を持つ本書であるが、社会保障の充実には消費税の引き上げが不可避と考える人々にぜひ読んでもらいたい。それは、消費税導入の背景や目的を知らずして、消費税率引き上げの是非を判断しているように感じられるからである。
しかし、作家マーク・トウェインの言葉を借りて言えば、「災いを引き起こすのは“知らないこと”ではない。“知らないのに知っていると思い込んでいること”である」。消費税の増税と言う名の災いを防ぐためには、まず「知らないのに知っていると思い込んでいる」ことを知る必要がある。そこで、自らの「知ってるつもり」を気づかせてくれる1冊として、改めてすべての人に本書の一読をお勧めしたい。
消費税によらない豊かな国ニッポンへの道―税をただすだけで社会保障財源は十分にある
著者:富山 泰一
販売元:あけび書房
発売日:2009-05
おすすめ度:
クチコミを見る
本書は、消費税が導入された背景、消費税を導入する日本が財源不足に陥った理由などについて、現役の税理士である富山泰一氏がつづったものである。図表やグラフが多いこともあって非常に読みやすく、短時間のうちに読み終えた。そして本書を読み終え、本書が読み広がることによって消費税の引き上げ問題に終止符を打つことができるのではないかと感じた。
そうした読後感を抱いたことを述べた上で、本書を読んだ際に注目したり長所と感じたりした3つのポイントを紹介したい。この拙い書評を読んで、1人でも多くの方が本書を読んでみようと思ってくだされば幸いである。
まず第1のポイントは、数字のトリックを解明、これを論破していることである。いま、政府からは「諸外国のなかで日本は消費税率が低い」、財界からは「日本企業の公的負担が高い」という大合唱が起こり、それによって消費税増税や法人減税の流れが強まっている。それに流されるように、国民のなかで社会保障の充実には消費税の引き上げが仕方がないものと考える者が増えている。
これまで、政府や財界が増減税の根拠とするデータに疑問を持ちながらも、税の知識を持ち得ないがために反論できないもどかしさを感じていた。しかし本書を読んで、そうした政府や財界の主張に物言えぬもどかしさが無くなった。それは、本書が政財界が示す数字のトリックを解明し、これを喝破していることが心地良く感じられたからかもしれない。
次に第2のポイントは、具体的な増収と財源の試算が提示されていることである。本書では、著者が主査を務める財源試算研究会が発表した「不公平税制是正による増収試算」(2008年度)と「税金の使い道をただす財源試算」(2006、07年度)が紹介されている。これらの試算によると、歳入面で不公平税制の是正によって年間20兆円を確保でき、歳出面では税金の使い方の改善で年間38兆円を削減できるという。
この記述を読んだ際、はじめはこれらのデータはまゆつばものであるように感じられた。だが、本書で提示される財源と増収の試算を見て、具体的かつ現実的な試算であることが分かる。政党のマニフェストで提示される財源試算と違って、さすが税理士らの手によるものであると感心した。
第3のポイントは、自らの知ってるつもりを気づかせてくれることである。以上の長所を持つ本書であるが、社会保障の充実には消費税の引き上げが不可避と考える人々にぜひ読んでもらいたい。それは、消費税導入の背景や目的を知らずして、消費税率引き上げの是非を判断しているように感じられるからである。
しかし、作家マーク・トウェインの言葉を借りて言えば、「災いを引き起こすのは“知らないこと”ではない。“知らないのに知っていると思い込んでいること”である」。消費税の増税と言う名の災いを防ぐためには、まず「知らないのに知っていると思い込んでいる」ことを知る必要がある。そこで、自らの「知ってるつもり」を気づかせてくれる1冊として、改めてすべての人に本書の一読をお勧めしたい。
(「『消費税によらない豊かな国ニッポンへの道』の感想」『JanJan』2009年8月14日付より)
消費税によらない豊かな国ニッポンへの道―税をただすだけで社会保障財源は十分にある著者:富山 泰一
販売元:あけび書房
発売日:2009-05
おすすめ度:
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